スプリング・サンバ

　早い物で、このレコードがリリースされてから、既に十年が過ぎ去っています。そして、女優としての彼女は今でも現役ですが、アイドルとしての全盛期を肌で感じ取った人で、今でもそのニュアンスを伝えられる人がかなり少ないのではないかと思うと、何だか複雑な気持ちになります。
　一口に言うと、大場久美子は「早すぎた」存在であったような気がします。当時から、かなりのマニア好みではありましたし、その独特のボーカルが「クーミン唱法」として一部では評価されていたのですが、あくまでもマイノリティの意見に過ぎませんでした。
　しかし、その後に登場したアイドルを見るにつれて、彼女の先進性を感じ取る事が出来た物です。七十年代後半のアイドルは、現在のアイドル・ポップスの数少ない礎ですので、今こそ、見直しの時期ではないかとも思うのです。
（斎藤一）