雨上がりのサンジェルマン

雨上がりのサンジェルマン

岡村有希子

  • 作詞:秋元康
  • 作曲:岸正之
  • 編曲:新川博
  • 発行日:81/09/10
  • 番号:YS-103
  • 発売:ユピテル

 名曲。だが薄幸の曲だ。
 この曲を歌う彼女をみたのは、KBS新人歌謡音楽祭を映すテレビの中。こぎれいで、澱むことを知らずに流れるが、心を引き止める曲ではないとおもった。
 レコードを手に入れたとき、印象がかわった。
 濁らないのは、空虚だからではない。澱まないのは、心も、いっしょに流れていこうとずるから。
 新しい才能 が、清水のように湧きだしてくる。
 新川博のアレンジの無機質。そして、秋元康の詞は無国籍。ことばひとつで景色はパリの色に染まる。彼が横文字を使うことが、めずらしいゆえになおさら。
 さらに岸正之。初めて一見る名前、だが異才だった。
 節度をもった曲は、接し方次第で、熱くもなってくれるし、ないてもくれる。そんなことを教えてくれた。
 そしてぼくは、この後、岸正之の作品を追い続けることになる。
(増島一洋)