潮風のメロディ

　筒美京平の作品ってだいたい2つのパターンに一大別されると思う。ひとつは、流行のメロディーやサウンドを大胆に取り入れた、一種のあざとささえ感じる職人芸的な作品。もうひとつは、あまりサウンド志向にはせず、素直に書いた感じのバラードっぼい作品。本曲は後者にあてはまる代表曲である。
　最近この曲をカバーした田山真美子が言う所の「演歌っばい」メロディーなんだけど、確かに沖縄出身のシンシアが歌ってることを度外視しても、南国風のメロディーである。間違っても北方民族（つまりヨーロッパ系）のメロディーとは異質な物であり、それが京平先生のアジア人としてのオリジナリティーにつながっていたように思う。京平先生のメロディーは日本人にしかわからない輸入物ではない美しさを秘めているではないか。
（佐々木周一）