青春の坂道

　70年代で一番好きだったアイドルは維かと聞かれれば、僕の場合岡田奈々だ。素直じゃなかった僕はレコードを一枚も買ったことはなかったんだけど、この曲はけっこうヒットしていてどこでも耳にできたような気がする。でも正直言ってこの曲以降の奈々は、すっかりスターになっちゃってデビュー当時ほど熱くなれなかった。彼女はこの曲でグレードアップしたことは確か。女優として順調にいけたのもこの曲のおかげだろう。
　青春フォークという感じのギター主体のサウンドと、ちょっとレトロっぽい誌の風景描写は、ドラマのイメージと相まって、甘酸っぱい“青春”の感しがジンジン伝わってくる名曲だ。
　僕もほんとうは、あの時岡田奈々のような娘と坂道で出会いたかったんだ。僕にとっては永遠にぬけおちたショットだろう。
（佐々木周一）