ザ・サンシャイン・ボーイズ

　この曲のレビューを書きながらこういうことを言うのも変だが、私は彼女の曲では『ミスター不思議』とか『処女飛行』の類いの曲しか評価できない。折角ストレートで伸びやかな声を持っていながら、それが生かされているのがこれらの曲位しか見当たらない。楽 曲に恵まれなかった、と言ってしまえばそれ迄だが、その実力を生かず場面が殆どなかったのは本当に残念だ。
　いい曲と売れる曲が違うのと同様、うまい人と売れる人も違うし、うまい人と器用な人、というのも遣う。彼女のデビューした82年は既に80年組が台頭し、歌謡曲、とりわけアイドルポップスの流れは明らかに変化していた。にもかかわらず彼女のやっていたそれは70年代のものを引きずっているに過ぎなかった。器用ではなかったのだ。この曲は彼女の不器用さの証明として記憶したい。
　(松田勇輝)