工藤夕貴はしばしば自分は曲に恵まれなかったと語っていた。デビュー曲からしばらくは背伸びをしたような、無理に大人びた曲を与えられていたせいだろう。聞く方としてはそのアンバランス性が魅力でもあったのだが、本人はかなりこだわっていたらしい。 この作品は彼女の曲の中でも地味なものであるが、相手の気持ちをはっきりと知ることができないもどかしさをテーマにしている点では彼女のイメージに合っていた方だろう。 また、この曲はTVドラマ「一休さん・喝!」のテーマ曲として使われていたが、かなり視聴率は悪かったらしく、事実、面白くないドラマであった。本人も、「あんまり面白くないので『一体さん・没』って言われているんですよ」と笑っていたくらいである。 (高杉洋一)