「最近のアイドルの曲は、アレンジに走りすぎて歌詞に内容がない!」とお嘆きの貴兄に。山口弘美は歌詞をたっぷりと語ってくれます。お互いに嫌いになった訳じゃない。他に好きな人かできた訳じゃない。そんな自由が許される、若い頃の別れの歌です。 「素肌をそっと重ね 二人は波になるの」…なんて美しい表現だろう。でも、「愛しても ひとつになれなかった…」そんな哀愁の別れの歌を、彼女は…。 山口弘美の魅力のひとつ、高いめの、癖の無いとても澄んだ声で歌う、最後のさびの部分、「…もう逢えないのなら もう一度だけ強く強く抱きしめて…」のところは絶品です。とくにその、甘く甘く懇願する、「抱き しめて…」を聞いてしまうと、あのか細い彼女の肩に手をまわし、身体が折れてしまうほど「抱きしめたい…」と思ってしまうのです。 (山口雅也)