おこりんぼの人魚

　夏－－抜けるような空
　　　　透き通る碧い海。
夏を連想させるこの2つを表現する歌には、抜けるような高音とよく通る中低音が不可欠である。そして、その代表として『青い珊瑚礁』の松田聖子を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、彼女の鼻にかかった声は、可愛いさを表現しているが、伸びやかな透明感に欠ける。その点、仁藤優子のボーカルは、素直で、どこまでも広がる青い空と海を想い起こさせてくれる。
　ただ、彼女はこの曲により、伸びのある高音を失ってしまった（ここでも皮肉にも松田聖子とダブるが）。依然、パワフルな中低音を持つ彼女は、以降の曲ではそれを生かした曲を歌い、高い評価を得ている。
　それはそれとして、仁藤優子が再びこの曲を歌うことがないことは残念なことである。
　覆水　盆に返らず－－
（Ｋ2）