夏にフレッシュ。

　季節の歌には情景描写が不可欠で、夏の場合よく使われるのは、グラス・ソーダ・氷といったところだが、ただ単語が出てくるだけでは駄作。その点、秋元康の表現力は素晴らしく、「ライムジュースをかさ混ぜればプリズムになるわ」と、情景に動感を与えている。白いテラスのカフェ。グラスのアップ。カラカラと氷の音がして、キラキラと虹を枚つグラス。まるで映画のワンシーンを見ているようだ。これに勝る夏の情景描写は他に無いだろう。
　歌詞もさることながら、その歌詞を耳になじませる、覚えやすい曲。それを盛り上げる的確なアレンジ。これで歌が下手だったら「アア、もったいない」なのだが、ご安心あれ。渡辺千秋の伸びやかな声、そして声量は、とっても耳に爽やかで、とってもとってもフレッシュな、“夏”を、リスニング・ルームに届けてくれるのです。
（山口雅也）