見えない翼

　伊藤麻衣子という人は、いわゆるアイドル不遇の年である83年にデビューしている。これは困ったタイミングだった訳で、なにしろあのそうそうたる82年組に上を塞がれていては、とても割り込む余地がなかったというのは、事実である。　ただそれでも、全く日のあたらない同期のアイドルよりは、ドラマの主演等があったことで恵まれていた。「不良少女と呼ばれて」の頃が彼女のアイドルとして最も華やかな時だった。
　「見えない翼」は、その頃にリリースされた曲。これ自身は、「婦警候補生物語」のテーマ曲であった。そういった時期的な要因もあって、このシングルが最高セールスを記録している(はずである)。いわゆる恋の歌でないのは珍しいかもしれない。
　ちなみに、今年（90年）彼女から－自筆と思われる－年賀状が来た。
（伊藤真一）