<< ターンテーブル:1984年ベスト20 >>

2000年6月5日@おれんじ★てぃー編集部石橋オフィス
順位 曲名 歌手 くまは だいさく natto ネコ八郎 西沢 松田
1 さよならのカレンダー 伊藤麻衣子 4 3 3 3 5 3 21
2 雨上がりのサンジェルマン 岡村有希子4 1 5 1 5 3 19
3 夏にフレッシュ。 渡辺千秋 2 5 3 4 4 1 19
4 夕暮れはLove Song 原真祐美 2 4 2 3 5 1 17
5 青春のいじわる 菊池桃子 3 3 3 3 4 1 17
6 風のノー・リプライ 鮎川麻弥 1 2 2 3 4 4 16
7 SUMMER EYES 菊池桃子 2 4 2 3 3 2 16
8 哀しみのレイン・トリー 岡村有希子 3 3 2 1 4 2 15
9 私MAILUWA 山本ゆかり 1 2 3 3 5 1 15
10 シャワーfeeling 川原理加 3 5 2 1 2 2 15
11 北ウイング 中森明菜 1 2 1 4 4 3 15
11 パジャマ・じゃまだ! 成清加奈子 1 4 2 3 4 1 15
13 The Stardust Memory 小泉今日子 3 2 2 4 2 2 15
13 H-i-r-o-s-h-i 渡辺桂子 2 3 2 4 2 2 15
15 3秒体験 山口由佳乃 2 5 1 3 1 2 14
16 赤道直下型の誘惑 渡辺桂子 2 4 0 4 3 1 14
17 東京Suger Town 堀ちえみ 2 3 2 3 0 4 14
18 センチ・メタル・ボーイ キララとウララ 2 3 1 1 4 3 14
18 ヤマトナデシコ七変化 小泉今日子 1 3 1 3 4 2 14
20 涙のクレッシェンド 伊藤つかさ 4 2 2 3 2 1 14

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◇ りすにんぐるーむ ◇

◇ りすにんぐるーむテキストバージョン ◇

くまはすきやき

今回は、ベスト20の中に推薦曲が7曲も入ったということで、個人的にはヨシヨシといったところか。
特に、第1位の曲は秘密兵器だったのでシメシメなのである。
「涙のクレッシェンド」
切切と歌うつかさ様に心打たれます。井上鑑のアレンジが素晴らしい。秋元の詞も良。
「ヤマトナデシコ七変化」
アイドル歌謡の王道を行くというのは、こういう曲のことを言うのであろう。私としては、可もなく不可もなくという感じ。
「センチ・メタル・ボーイ」
この意味不明な詞が、なぜか心地よい(本当か?)。こういう曲でデビューするのは、とても勇気が必要だ。
「東京Suger Town」
堀ちえみにとって84年は大きな転換期であった。従来の曲の色を残した「白いハンカチーフ」(名曲)から始まり、これからを方向付けた「クレイジーラブ」(個人的には84年ベスト)まで目まぐるしい1年であった。その中で、1番肩の力がぬけていたのがこの曲であったかも知れない。この曲のヒットが次ぎの曲の大ヒットを生んだのだろう。
「赤道直下型の誘惑」
この曲は、TTスタッフには思い出深い(笑)名曲である。筒美の曲にしては、西沢先生の点が辛いので曲としての評価は低いということでしょうか。
「3秒体験」
とてもさりげない名曲。由佳乃の声を引き立てる鷺巣のアレンジが良。
「H-i-r-o-s-h-i」
確かに名曲。デビュー曲としては文句無しといった所か。この曲も京平フリークの西沢先生とは思えない点数だ。単に渡辺桂子が嫌いなのかも(笑)。
「The Stardust Memory」
映画の主題歌ということで、小泉の一連の曲とは一線を画している。こういうチャントシタ曲がこの時期にもう数曲欲しかった。個人的には好きなアレンジだが評価が分かれるところだろう。高見沢のメロディも軽快。
「パジャマ・じゃまだ!」
こういう詞の評価は、大変難しい。個人的には、言葉遊びをかっこ良く仕上げてある曲というのは、あざとい感じがして好きではない。それだったら「センチ・メタル・ボーイ」の詞の方が何倍も良い。
「北ウイング」
良い曲だとは思いますが、好みではないのです。こういう曲は、私が評価しないでもなんの問題もないでしょう。
「シャワーfeeling」
爽やかです。全てにおいて爽やかです。他になにもいりません。この曲がせめて半年前に発売されていたら少しは日の目を見られたかも。
「私MAILUWA」
個人的に、東洋・大陸的ミディアムテンポな感じのする曲って苦手なのです。ちょっとでもそんな感じがしたらダメなんです。
「哀しみのレイン・トリー」
今回初めてシッカリ聴いたのですが、名曲でした。「雨上がり…」に隠れて知らなかったのですが、とても素直な曲で感じ良い仕上がりになっています。やばいやばい、ウォンツ漏れするところだった。
「SUMMER EYES」
デビュー当時の菊池桃子の楽曲は、全てにおいて確りしておりクオリティが高かった。それも歌い手に合わせた曲作りがされていた様で、とても自然に聴き手に入ってくる。ただこの曲は、それが少し単調さに現れてしまった感じがする。
「風のノー・リプライ」
もちろん名曲ではあるが、この手の曲が上位にきちゃうと色々と問題が出てきそうなので(笑)、あえて低い点数にしてみた。ま、個人的にもあまり好みでないし。
「青春のいじわる」
感動のデビュー曲である。当時は、曲の良し悪しは関係なしという感じであったが、いましっかり聴きなおしてみると、思った以上に良い曲。ただし、林のアレンジは、評価が分かれるか。
「夕暮れはLove Song」
林のメロディが鷺巣のアレンジで、さらに良く聴こえます。でも、このメロディでは、せっかくの良い詞が死んでしまっているような気がする。
「夏にフレッシュ。」
秋元の詞が絶品。長渕の曲も意外にも出来が良く、文句なしの名曲。夏の曲の定番。セカンドの「パープルメモリー」も佳曲。
「雨上がりのサンジェルマン」
隠れた名曲とは、この曲のことを言うのであろう。TT周辺では昔から評価が高いが、実際殆ど知られていない。究極のマニア受けシングルと言える。岸のメロディは完璧。
「さよならのカレンダー」
とにかく馬飼野先生のアレンジが綺麗。売野もこの手の詞を書かせたら良い仕事をする。岩里の曲も良。ちょっとサビの処で伊藤の声が苦しい感じだが、そこらへんはご愛嬌と片付けてしまおう。とにかく名曲。

nattomaki

前回(1982年ベスト)の反省にのっとって、今回は点数を辛目にしてみました。2点が10点法で7点になります。7点なら佳曲ってところです。

「さよならのカレンダー」
これはノーチェックでした。私は初物には甘いので、点数がちと甘いかも。でも良い曲ですね。
「雨上がりのサンジェルマン」
タイトルからはフレンチポップス然とした曲を想像するのですが、実は全くフレンチポップスではありません。松田聖子からの流れを汲む80年代のアイドルポップスとは一味違ったものにしようといった意図はうかがえる、といったところでしょう。
素直に伸びた声は彼女の特徴で、この曲の解放感を形作る上でも大きなポイントになっています。ビブラートをかけない唱法は意外に難しいものなのですが、それを自然にこなしているのは一つの才能でしょう。
上を向いた曲です。薄いアレンジは雲の晴れた空であり、詞は空に突き抜け、曲は虹をかけるでしょう。岸正之氏の代表作となるべき曲です。埋もれてしまっているのは非常に残念です。
「夏にフレッシュ。」
さわやかな曲のはずでなんです。アレンジはそうです。ストリングスの音は、湿度の低いそよ風のようです。
詞もそうなのでしょう。でも、“フレッシュ”を繰り返すのは少し野暮かもしれませんが。 そう、野暮なんですね。詞はおしゃれな単語でキメてるのですが。そして曲がそこはかとなく演歌くさいので、シーン1には、路肩に草が生えている田舎道をどうしても想像してしまいます。うーん、ほのぼのしてて良いです。
「夕暮れはLove Song」
失恋の歌なのに賑やかなアレンジ。悲しみを吹き飛ばそうってわけなのでしょうが、風だけ吹いて飛んでかなかったって感じになってしまいました。曲は、特にBメロは良いんですけどね、それだけでもかなり好きな楽曲です。
「青春のいじわる」
そうです、青春はいじわるなんです。否定できません。否定できないところを攻めてくる秋元先生はずるいっす。
菊池さんの声とアレンジのバランスがとれて心地よく聴けます。声が楽器と一体化してるってやつですね。楽曲としての完成度は非常に高いと思います。
「風のノー・リプライ」
盲点ですねー。こういう楽曲がエントリーされちゃうと上位に来ちゃうんですね。曲は悪くないです。スピード感と、ちょこっと泣きが入ったメロディーライン。でも、さらっと流れていってしまうので。もうちょっと緊張感あればさらに良かったところです。
「SUMMER EYES」
菊池さん2曲目。頭の中の整理では、この曲のが好きであろうとの予想しつつ実際聴き比べてみると、「青春のいじわる」のほうが楽曲としての完成度(詞曲の起承転結)が上だったんですね。
この曲、アップテンポになった分、緊張感-この曲の場合不安感-を高めるアレンジがされておりその点は申し分ないんですが、詞が、青春のいじわるさ加減にはかなわなかったのです。
「哀しみのレイン・トリー」
岡村有希子さんのデビュー曲。“レイン・トリー”って何でしょうか?、といつも思うのですがよくわかりません。曲の構成は実はオーソドックスともいえるアイドルポップスなのですが、アレンジと調和した冷えた感じのする声のためか、アイドルとの曲とは一線を画しているように感じるのがミソです。要するに華が無いのですが、地味でも厭きがこない良い曲だと思います。
「私MAILUWA」
わたしにとっては、“美人じゃないけど好みのタイプ”って曲です。
山本さんの声質も艶っぽくて好き。質量がある物体をつり下げて運んでいるような余韻のある歌唱法も都志見氏のメロディーに合っていると思います。
「シャワーfeeling」
歌い手さんの歌唱力に比べて、曲の難度が低いって感じです。
「北ウイング」
鈍重といった感覚の曲です。わたしの好みではありません。
林哲司氏の方法論からすると“サビは強く長く”ですが、そこがわたしとは合わないと思われます。
「パジャマ・じゃまだ!」
こちらも林哲司の作曲です。サビが林氏の方法論とは異なって、“強く長く”無くスタッカート気味なところが、逆に私好みなのです。アレンジも、私の好きな生音ではないのですが、耳障りということもなく、アニメ主題歌という狙いがしっかりしているので好感触。
「The Stardust Memory」
おもちゃ箱をひっくり返したようなアレンジ。キャッチーで一回聴けば印象たっぷりでしょう。ただ、何回も聴くと?…。ブリッジの部分がそこを救けているわけですね。
「H-i-r-o-s-h-i」
アレンジの印象が強い曲です。大谷和夫さんは、私が好きなアレンジャーの一人です。この曲は、大谷さんのカラーが良く出た佳曲です。
私にとって、大谷さんといえばストリングス。絵の具のついた筆が三次元の空間を滑るようにストリングスの鳴らして歌声の周りを彩って、いかにも、大谷さんのアレンジって感じです。石川秀美さんの「初恋通信」や、後で出てくる「東京Suger Town」と聴き比べてみてください。
「3秒体験」
曲の動機の部分も、サビの部分も、良いメロディーラインだと思います。特にサビはメロディーも詞もキャッチーだし。でも、なんだかしっくりつながって来ないんですよね。
「赤道直下型の誘惑」
わたしがアイドルの楽曲に期待する、-甘酸っぱさや青臭さや切なさの幻想-とは、最も離れた位置にある曲です。個人的には、特にアレンジの下世話な感じは耳障りです。
オリ通に、“極道直下型の迷惑”といったネタがありました。極道からすると迷惑ということで…。
「東京Suger Town」
この曲もアレンジが強い曲。芹澤氏らしくないというか、芹澤色より大谷色のが強く出ています。
オケの音質が悪いのがマイナス点。大谷氏の命のストリングスが乾燥さしたものを水で戻したような音になってしまっては…。
「センチ・メタル・ボーイ」
タイトルだけはインパクトがあるのですが、“センチ・メタル・ボーイ”とは何かというイメージが散漫。詩も狙いがよくわからないし。テクノでなく、ヘビィメタルなら分かりやすかったかも。
ヘッドセットで唄っていたパフォーマンスは良かった。
「ヤマトナデシコ七変化」
小泉今日子スタッフの企画力には敬服します。色モノになりそうな素材でも、時代の流れに乗ることでその時代の最先端にしてしまう。
“作詩、作曲、編曲、唄”で構成されたものというより“企画力の結晶”といった感じの作品です。この曲を聞くと、当時が思い出されます。
ただ、色物のポジションにあるものは、時代が過ぎ去るとやはり色物になってしまうのですが。
「涙のクレッシェンド」
楽曲は水準を超えてると思います。ただ、バラード聴かせるには、歌唱力が欲しい。歌唱力が無いなら、せめて説得力が欲しいところ。

着外でわたしのオススメ
「見知らぬ国のトリッパー」
落ち着いた淡青緑の色硝子のようになクリアな世界に、光にたとえればばソリトンのような、質感のある歌声が突き抜けていきます。音とは言え、壮観。
「東京メルヘン」
このヴァージョン、ストリングスがちとうるさい気がします。アレンジは、木之内オリジナルが、“2月の冷たい風は、厚いコートに身を包んでいてさえも、その隙間を吹き抜けていく”のに対し、こちらは“風も通らないほど厚く服とマフラーを着込んでいる”といったイメージです。木之内ヴァージョンのが詞の解釈に合致していると思います名曲は、やはり名曲でしょう。
「グッバイ・ガール」
「ボーイキラー」発声練習などをしたことがあり、歌唱力に自信がある人ならきっとこの曲を歌いたくなることでしょう。

西沢雄大

 まずは、「さよならのカレンダー」。麻衣子先生にもこの俺の感激を伝えたい。感無量。しかし、男の子がイチコロな「詞と曲とアレンジ」だこと!
「雨上がり…」は、岸正之の原点だす。
「夏にフレッシュ。」最近、こんな楽曲が、見当たらんネ…。84年度を象徴する名曲だネ。
「夕暮れ…」は、原真祐美の作品の中でも金字塔だ(と思う)。
 今回、嬉しかったのは、「風のノーリプライ」の再評価! アニソン特有の安っぽさは、全然ないね。マジな話、河合奈保子に歌わせたかったぜ!
「青春のいじわる」は、桃子の原点。「もうこれ以上、林作品がお腹いっぱい」でも、決して外せない究極のナンバーだ。
「私MAIRUWA」は、84年度の萩田WORKS(編曲)のナンバー1の楽曲。しかし、何度聴いても、バック・トラックのカッコイイこと(溜息)。ギターのカッティングにはゾクゾクするぜ。
 で、惜しかったのは、「北ウイング」。その年に連発した林作品の中でも、もっともっと再評価されてもおかしくないぜ!
 「ヤマトナデシコ七変化」…84年の京平さんは、長い作曲家生活の中でも苦労された年じゃないかと思うだよ。そんな状況でも、光る1曲。僕的には、「月曜日はシックシック」(82年)をヒントに進化させた佳曲。
「見えない翼」の詞がイケナイ。…と思ったら、案の定「売野」。曲はイイのだよ。なんたって、キサブロー。心に染みる作品だね。
 今回、個人的にショックだったのは、「ASIAチックDOLL」の評価の低さ(涙)。森尾にとって、人気下降時期云々も分かるが、京平先生の「アジアへのこだわり」が、ブレンドされていることへの再々評価してネ。「優雅」「チェルシア・チャン」の流れを感じずにはいられないんですがネ…。日本人がネックだったのか(苦笑)。松田さんの1点に感謝。

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